「めまい」といっても、目の前の景色ががぐるぐる回るの回転性めまい、体がふわふわする浮動性のめまい、クラッとする、目の前が暗くなるなどの、立ちくらみのようなめまいなど様々な症状があります。回転性のめまいは内耳の異常でおこることが多く、その6割程度が内耳性のめまいと診断されています。

耳にかかわる症状、例えば難聴、耳鳴り、耳づまり感などがなくてもお耳が原因になっている場合があります。耳鼻咽喉科にご相談ください。
 また、麻痺、感覚傷害、、ロレツがまわらない、よだれが多い、体の動きがおかしいなどの場合は脳卒中などの中枢性の原意を考えなくてはなりません。

 お耳の奥には、内耳と呼ばれる精密機械いやそれ以上の非常に精密な臓器があります。神経系臓器でありながら巧妙な物理学的機構が組み込まれていて他の臓器にないようなメカニカルな要素を持ったすごい臓器です。主な役割は「音を聞くこと」と体「のバランスをとること」です。これらの全く関連がないような機能が一つのメカに組み込まれていることがすごいですね。
 ただ内耳が壊れてしまうと「聞こえ」の障害と「バランスの障害」が一緒に現れる可能性が出てきます。ストレスを含む循環障害に弱いとても繊細な臓器です。

 目玉を動かす筋肉は片眼で6つあります。眼球の運動(眼球運動)は、6つの筋肉協調によって行われます。これらの精密な動きが、頭の動きによる景色の見え方を瞬時に補正してくれます。ちょっと思い出してもらいたいのですが、地震が発生するとテレビでは固定カメラから外を撮影した映像が画面に映し出されます。しかし自分の目で地震の時に外を見た映像とすこしちがった感覚に思われませんか。眼と内耳がうまく連携を取れないと、手ブレ動画を見続けたような感覚になります。もし手ブレ画像がいつも見えていたら打球を捕球したり、鉄棒でひねって着地などとても行えないはずです。普通に歩行することも困難になります。超高度な手振れ補正機能が内耳に組み込まれており、これが壊れると回転したり揺れたりする(実は目玉の異常運動)めまいが発生します。

 体の筋肉の動きは、脳からの指令が脊髄を下ってきて手足に伝わります。
体のバランスを保つためには手足を踏ん張ったり、手を広げたりします。この筋肉を使ったバランスの働きも内耳が、ものすごく精密かつ鋭敏に関わっています。

 内耳には体のバランスを取る役割の「三半規管」、「前庭」。音を感じ取る「蝸牛」から構成されています。内耳の中全体に、リンパ液が溜まっています。

  • 三半規管:前後左右の体の傾きを感知します。
  • 前庭:水平方向や上下方向の体の動きを感知します。
  • 蝸牛:音を感知します。

「三半規管」、「前庭」が故障するとバランスが取れずグルグルやフラフラのめまいが起こります。「蝸牛」が故障すると難聴や耳鳴りなどの聞こえの異常が起こります。

また、内耳道を通る神経に腫瘍や炎症が起こっても内耳が故障した時と同じような症状が起こります。

良性発作性頭位めまい症:三半規管の中に小さな石(耳石)が入り込み、頭を動かすたびにめまいがする病気です。聞こえの変化はありません。

メニエル病:内耳の中のリンパ液が溜まりすぎて、めまい、難聴、耳鳴りがする病気です。 

前庭神経炎:じっとしていてもめまいがします。が聞こえの変化はありません。姿勢の変化の影響はあまりありません。

突発性難聴聴神経腫瘍でめまいが起こることもあります。

起こっても内耳が故障した時と同じような症状が起こります。

 レントゲン検査:内耳道などを撮影し聴神経腫瘍がないかを見ます。

眼振検査:目玉の運動異常がないかを観察します。

前庭眼反射の検査、前庭精髄反射の検査:前庭と外眼筋や骨格筋との連携を調べます。

聞こえの検査:蝸牛に異常がないかを調べます。