新型コロナオミクロン株の感染力は凄まじく、クリニックでは泣き声をあげる幼いお子さんの耳の治療際には防護服を着用することに致しました。身を守りながら今まで通りの治療を継続したいと考えていますのでご理解いただけると幸いです。

最近、宿泊施設や自宅で療養された方、濃厚接触者で観察期間を無事終了された方が職場復帰のためにPCR検査や抗原検査の陰性証明を職場から求められている、という声を聞きます。しかし職場や教育施設に戻るための陰性証明は必要ありません

このことに関しては「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第 18 条 に規定する就業制限の解除に関する取扱いについて」として厚労省から令和2年5月に事務連絡が発出されており、観察期間の短縮に伴い本年1月31日に一部改定されています。

また、逆に7日間の観察期間を終了した時点では「感染源にはならないが、PCRは陽性」という状態である可能性もあり、「PCRが陰性化していないので職場復帰できない」という状況に陥ってしまう可能性もあります。これはPCRではウイルスの遺伝子を見ているだけで、感染性を見ている訳だはないからです。ウイルスそのものの存在は、ウイルスの存在によって、感染した細胞にどの様な変化が起こるかを顕微鏡で観察して行います。細胞変性効果を顕微鏡で観察してみると、PCRが陽性の段階でもウイルスの分離量(ウイルス感染価)は低下しており、感染性はないと判断されるケースがあります。PCR陽性とウイルス分離とは別次元の検査であるからです。

話が難しくなりましたが、要は体内からウイルスが消えて、他人に感染させる心配がなくなっても、検査でPCR陽性に出るケースがあります。このことに関して「症例数は少ないが」との但し書きはありますが、国立感染症研究所がオミクロン株を用いた報告を出していますのでご興味がある方はご一読されてみてはいかがでしょうか。

私たちは様々な不安の中でも、これらの科学的根拠を信じて行動するしかないんだと思います。