【おたふくかぜとは】
唾液腺(耳下腺、顎下腺)の腫れ・痛み、発熱で発症し、通常1 ~2週間で良くなってきます。
唾液腺の腫れは両側であったり片方の耳下腺にみられることがほとんどですが、全く症状がない場合(不顕性感染といいます)であったり、顎下腺、舌下腺にも起こることがあり症状のバリエーションが多いのも特徴です。症状は2日以内にピークを認める事が多いのですが、重症化して長引くケースもあります。 接触、あるいは飛沫感染でうつりますが、その感染力はかなり強く集団発生する場合もあります。周りに同じ症状の方がいなくても、不顕性感染の方からうつってしまうケースもあります。もかなりみられ、30~35%とされている。 鑑別を要するものとして、細菌性耳下腺炎や、他のウイルスによる耳下腺炎、反復性耳下腺炎などがあります。
【潜伏期間】16~18日
【感染経路】飛沫感染、接触感染
【治療】
特効薬はなく基本的に対症療法であり、発熱などに対しては鎮痛解熱剤の投与を行います。髄膜炎合併例に対しては安静に努め、脱水などがみられる症例では輸液の適応となります。
【合併症】無菌性髄膜炎1〜10%、精巣炎20〜40%(思春期以降)、卵巣炎5%、脳炎0.02〜0.5%、感音性難聴0.01〜0.5%、膵炎4%
精巣炎、卵巣炎は成人になってからが多いようですが不妊症の原因になります。感音性難聴は主に片方の耳ですがかなり重い難聴になります。回復はしません。脳炎は様々な後遺症を残す可能性があります。
【予防】
おたふくかぜワクチン(任意接種・生ワクチン)で予防します。おたふくかぜはかかっても軽症の場合が多いのですが、重い合併症を引き起こすことがあるので、ワクチン接種が重要です。先進国のほとんどの国では2回接種を実施しています。
世界の多くの国では、おたふくかぜワクチンを定期接種で2回受けているので、流行はあまりありません。しかし日本では、任意接種ワクチンで接種費用が自己負担のうえ、1回だけ接種する習慣になっています。どんな病気なのかもほとんど伝えられていません。そのため、平均すると毎年約60万人がかかって、多くの子どもが重い合併症で苦しんでいます。
【登校(園)基準】耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫張が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好となった後。