佐賀県佐賀市のいちはら耳鼻咽喉科クリニックです。 新生児からご高齢の方まで、全ての年齢の患者様を対象にしています。1.的確な診断と治療 2.十分な説明 3.受診しやすい環境 4.子どもを怖がらせない を理念として診療にあたっています。アレルギー性鼻炎のレーザー治療、睡眠時無呼吸症候群の治療にも力を入れています。

マクロライド少量長期療法

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マクロライド少量長期療法

 

マクロライド少量長期療法は1980年代に、当時難病とされていた「びまん性汎細気管支炎」の治療方法として日本で開発された治療方法です。現在、耳鼻咽喉科領域では副鼻腔炎の治療方法として確立しています。「マクロライド」とは、抗生物質の一種で、本来細菌感染に用いられる治療薬で、少量ではその効果は余り期待できません。ところが、この抗生物質には虹的作用として副鼻腔を含む気道の「傷害を受けた絨毛粘膜上皮の機能回復」という作用があることがわかりました。この二次的作用のおかげで、この治療を行うようになって以来慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)の手術を行うケースがかなり減りました。

副鼻腔は鼻腔(鼻の穴)につながった空洞ですが、その壁には絨毛という細かい毛の生えた薄い粘膜で覆われています。この絨毛が副鼻腔の中に侵入した病原体や異物を粘液とともに鼻腔に向けて動いて運び出してくれます。「急性副鼻腔炎」の急性感染症でこの絨毛の機能が障害されその後に絨毛粘膜の機能障害が残ってしまい「慢性副鼻腔炎」へと移行してしまいます。以前はこの絨毛の機能障害を回復させる手立てがなくて、手術によってこの粘膜を完全に除去することを目的とした「副鼻腔根治手術」が治療の中心でした。

 

 

絨毛粘膜上皮は十分な粘液に覆われ、絨毛は良好な運動を行なっています。

 

絨毛粘膜の粘液分泌機能が障害され、絨毛も欠落し病原体の排出機能が低下し膿汁が貯留します。

 

【治療方法の実際】

慢性副鼻腔炎の診断は十分な問診で症状と経過を伺った上で、レントゲン検査さらにアレルギー性鼻炎お合併が内科などの確認などを踏まえて総合的に判断します。診断が確定したら治療に入ります。マクロライド系抗生物質にも色々ありますが、現在はニューマクロライドと呼ばれるクラリスロマイシン、ロキスロマイシンを使用することが多いと思います。使用量は後期作用を目的として使用する常用量の半分の量治療期間は2〜6ヶ月を目安に行います。6ヶ月治療を行なって完治しなかった場合、その後の治療方法は、手術療法も含めて十分ご相談させていただいた上で判断させていただきます。また、マクロライド少量長期療法に反応しない慢性副鼻腔炎の中には難病の「好酸球性副鼻腔炎」などが隠れている場合もありますので詳しい検査が必要になる場合もあります。

【慢性副鼻腔炎の急性増悪】

慢性副鼻腔炎の症状は鼻閉(はなづまり)、鼻漏(鼻汁)、後鼻漏(こうびろう 鼻が喉に流れること)、咳嗽などが中心です。このような症状が1ヶ月以上続いているような場合「慢性副鼻腔炎」が疑われるわけですが、病院に来られる患者さんの中にはそれらの症状に加えて「頭が痛い」、「眼の奥が痛い」、「ほっぺたが痛い」、「歯が痛い」などの痛みを伴っておられる方が結構いらっしゃいます。これは「慢性副鼻腔炎の急性増悪(きゅうせいぞうあく)」といい、絨毛粘膜の機能障害の上に感染が加わった状況と考えられます。

【急性副鼻腔炎への応用】

マクロライド少量長期療法は「慢性副鼻腔炎」の治療ですが、突き詰めれば「絨毛粘膜機能不全」の治療です。「急性副鼻腔炎」は、まずウイルス感染から始まり、最近による二次感染が起こります。これは通常量の抗生物質を選んで治療すれば感染そのものは改善します。しかしその後も汗腺を繰り返すケースが多く最終的には慢性化に至って島します。「お薬飲んでたら良くなったので治ったと思ってました」と、おっしゃる方が多くいらっしゃいます。結局、「感染の後の絨毛粘膜機能障害」が残ったままになっているからだと思います。当院では通常の抗生物質の治療を行い、症状がかなり改善したらその後に少しマクロライド少量使用して、粘膜の機能を改善するように工夫して治療を行なっております。この「あと一押し」の治療で早期再発をおさえています。

 

TEL 0952-24-8010 佐賀県佐賀市の嘉瀬町大字扇町2469ー26

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