メニエル病はフランスの医師プロスペル・メニエルが1861年に初めてめまいの原因の一つに内耳性のものがあることを報告したことに由来しています。150年以上前の話です。それまで耳とめまいの関わりが確定されていなかったようです。回転性のめまいと難聴・耳鳴りが主症状です。
典型的なもの以外は。診断がなかなか難しい疾患の一つです。2017年に「日本めまい平衡医学会」から新らしい「メニエール病」診断機銃が発表されました。型苦しくなりますが書き写してみました。
メニエール病(Meniere’sdisease)診断基準
A.症状
1.めまい発作を反復する。めまいは誘因なく発症し,持続時間は10分程度から数時間程度。
2.めまい発作に伴って難聴,耳鳴,耳閉感などの聴覚症状が変動する。
3.第VIII脳神経以外の神経症状がない。
B.検査所見
1.純音聴力検査において感音難聴を認め,初期にはめまい発作に関連して聴力レベルの変動を認める。
2.平衡機能検査においてめまい発作に関連して水平性または水平回旋混合性眼振や体平衡障害などの内耳前庭障害の所見を認める。
3.神経学的検査においてめまいに関連する第VIII脳神経以外の障害を認めない。
4.メニエール病と類似した難聴を伴うめまいを呈する内耳・後迷路性疾患,小脳,脳幹を中心とした中枢性疾患など,原因既知の疾患を除外できる。
5.聴覚症状のある耳に造影MRIで内リンパ水腫を認める。
診断
メニエール病確定診断例(CertainMeniere’sdisease)
A.症状の3項目を満たし,B.検査所見の5項目を満たしたもの。
メニエール病確実例(DefiniteMeniere’sdisease)
A.症状の3項目を満たし,B.検査所見の1~4の項目を満たしたもの。
メニエール病疑い例(ProbableMeniere’sdisease)
A.症状の3項目を満たしたもの。
診断にあたっての注意事項
メニエール病の初回発作時には,めまいを伴う突発性難聴と鑑別できない場合が多く,診断基準に示す発作の反復を確認後にメニエール病確実例と診断する。
臨床所見の中にMRI所見が組み込まれました。MRIを利用すると患側(悪い方の耳)の内耳が水ぶくれ(内リンパ水腫と言います)が描出されます。
中部労災病院耳鼻咽喉科中島 務先生ほか
これらの臨床所見の組み合わせによって「確定診断例」、「確実例」、「疑い例」を診断します。