睡眠時呼吸障害
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
【睡眠呼吸障害について】
睡眠中に無呼吸を代表とする呼吸調節障害をきたす疾患を睡眠関連呼吸障害(sleep-rerated disordered breathing:SRDB)といいます。よく知られるようになった睡眠時無呼吸症候群(sleep aphnea synrome:SAS)もこれに関連したものです。
細かな分類としては
1.中枢性睡眠時無呼吸症候群
2.閉塞性睡眠時無呼吸症候群
3.睡眠関連亭換気、低酸素血症症候群
4.身体疾患による睡眠関連低換気、低酸素血症
5.そのほかの睡眠関連呼吸障害
このように分類されています。
ここで重要なのは「中枢性」と「閉塞性」をいかに区別するかということです。
この区別によって治療の選択肢が異なってくるからです。
「中枢性」と「閉塞性」の違いを説明します。
「中枢性」は呼吸が止まっているが、いびきをかいておらず、しかも胸やお腹は呼吸しようという動きが見られない場合です。静かに息が止まっています。
「閉塞性」はいびきをかいており呼吸が止まり、胸やお腹は呼吸しようと動いている場合です。
表にまとめると下のようになります。ご家族のいびきや無呼吸がご心配な方は、この表を参考に状態を見てあげてください。

【睡眠呼吸障害の合併症】
呼吸障害ですから息がうまくできず体の中への酸素の取り込みがうまく行かず、二酸化炭素が蓄積されます。その結果様々な合併症が報告されています。
睡眠時の呼吸障害の合併症に関して表にまとめてみました。
まだはっきりしていない部分もありますが、成人と小児に分けて可能性が高いとされているものをあげています。


*成長障害に関しては、扁桃肥大、アデノイド増殖症に伴う睡眠障害であれば扁桃摘出、アデノイド切除で身長、体重が追いつくことが期待できるそうです。これは扁桃線が大きいために食事の摂取が不十分とかいうわけではなく、手術前後のエネルギー摂取量が同じであった場合でも、成長の改善があったそうです。
子供さんたちの「いびき」や「口呼吸」に対しても、一見しっかり眠れているようであっても睡眠障害の検査は重要です。
【睡眠呼吸障害の診断】
1診察
まずは問診を行いその後に診察を行います。
成人も小児も鼻や喉だけではなく、耳や頸部も含め診察を行います。
いびきや無呼吸の原因となる疾患がないかを隈なくチェックします。必要な場合はレントゲン検査や内視鏡検査(カメラの検査)を実施します。
診察、検査のポイントは呼吸の通り道で狭くなっている場所がないかを観察することです。つまり「閉塞性」の呼吸障害が疑われる可動かの判断を行います。
Mallampati(マランパチ)分類と言いますが、ベロを思いっきり出した状態で、ノドチンコがどのくらい見えるかで閉塞性の呼吸障害を疑うべきかを判断する手がかりになります。ClassIVで「疑わしい」と判断されます。
2検査
睡眠呼吸障害の最終診断には終夜ポリグラフィー検査(PSG)が必要です。
終夜ポリグラフィー検査には簡易検査と精密検査があります。検査できる項目数が全て揃っているものが精密検査、検査項目を簡略化したものが簡易検査になります。
終夜ポリグラフィー(簡易検査)
終夜ポリグラフィー(精密検査)
どちらの検査も一晩検査装置を装着した状態で寝ていただきます。痛みなどの苦痛を伴う検査ではありません。
精密検査は通常入院が必要になるため、お仕事や家庭の事情でご都合が合わない場合、検査が困難になります。当院では入院せずに検査ができるシステムを導入しました。
この方法ですと、検査内容は入院検査と全く同等で、コストも3分の1程度になります。
【睡眠呼吸障害の治療】
また、閉塞性の睡眠時呼吸障害が考えられる患者様に関しては手術、入院が必要な手術に関しては、実施可能な医療施設にご紹介しております。
アレルギー性鼻炎が原因である場合、服薬治療、舌下免疫療法、レーザー手術などを実施しております。
【当院における睡眠呼吸障害の検査治療の特徴】
1.小児から成人までを対象とします。
2.内視鏡検査を含む原因疾患のチェックを実施。
3.終夜ポリグラフィー検査を行います。簡易検査で睡眠呼吸障害が濃厚の場合は精密検査を実施し「中枢性」、「閉塞性」の鑑別を行います。
*当院の精密検査は入院せずに実施しますのでコストは1/3で済みます。検査内容は全く同等です。
入院がいらなくなりました
4.「閉塞性」の場合はまずは原因となっている可能性がある疾患(アレルギー性鼻炎、蓄膿症など)の治療をしっかり行って、呼吸障害が改善するかを確認します。
5.アレルギー性鼻炎に対しては「レーザー手術」、「舌下免疫療法」も実施しています。
6.小児の場合は、呼吸障害のみならず、扁桃肥大、アデノイド増殖症における「滲出性中耳炎」などの合併症がないかもチェックします。
