伝染性単核球症
エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)による感染症で、キスによる感染が多いためkissin diseaseとも呼ばれています。
日本では2~3歳までに70%が感染し免疫ができます、小児期の感染ではあまり症状は出ません。20歳代では90%以上が抗体を持っていますが、思春期以降の初感染では、50%が発病します。
EBVは唾液の中におり、キスや飲み物の回し飲みなどで経口感染します。
既に感染している人の約15~20%は無症状でウイルスを持っており、そうした人から感染がひろがります。
一度感染して免疫ができると再感染はしませんが、免疫力が低下したような場合には稀に再感染することもあります。
【症状】
潜伏期間は長く6~8週間です。1ヶ月以上前のキスが感染の原因ということになります。
思春期以降の初感染では、38℃以上の発熱が5~7日程度続き、全身倦怠感のほかに、口蓋扁桃の発赤腫脹、白苔(白くべったりしたもの)が扁桃線に張り付きます。強い咽頭痛、全身特に頚部のリンパ節がグリグリ腫れて痛みます。肝臓や脾臓が炎症を起こし腫れることがあります。肝機能検査で異常が見られる場合は入院が必要になることがあります。
発疹を伴うこともあり、特にペニシリン系の抗生物質が発疹を誘発することもあります。
血液検査では単核球の増加が特徴的です。
【治療】
安静にして経過観察するのが基本ですが、重症(肝機能異常など)の場合は入院治療が必要です。
抗生物質はウイルスが原因の伝染性単核球症には無効で、発疹を誘発する可能性もあるので、ペニシリン系抗生物質のみならず、セフェム系抗生物質を服用するのも控えましょう。
二次的に細菌の混合感染をおこすことも結構あります。その場合には医師の判断で抗生物質を服用することもあります。感染力は弱いので、熱が下がって、元気になれば学校に行ってもかまいません。