RSウイルス(RSV)感染症
【症状】
Respiratory syncytial virus(レスピラトリーシンシチアルウイルス)感染は、何度も繰り返す感染症ですが、1回めの感染が重症化しやすいと言われています。生後1歳までに50%以上が、2歳までにほぼ100%の児が1度は感染します。そのため、乳期、特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)にRSウイルスに初感染した場合は、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こすことがあります。また、基礎疾患を有する小児(特に早産児や生後24か月以下で心臓や肺に基礎疾患がある小児、神経・筋疾患やあるいは免疫不全の基礎疾患を有する小児等)には特に注意が必要です。
症状は発熱、鼻汁などの症状が数日続きます。多くは軽症で済みますが、重くなる場合には、その後咳がひどくなり、ゼーゼーと苦しそうな呼吸になり、細気管支炎、肺炎になることもあります。初感染乳幼児の7割程度は、かぜ症状だけで数日で治ります。残りの3割では咳が悪化するとされています。生まれつきの合併症がある赤ちゃんは特に注意が必要です。また、1歳以下の乳児では中耳炎の合併がよくみられます。
2回目以降の感染は軽い症状ですみます。症状や経過はヒトメタニューモウイルス感染症とよく似ていますが、流行する季節が異なります(下図参照)。
【潜伏期間】4~6日
【感染経路】飛沫感染、接触感染
【治療】
RSウイルスには特効薬がなく対症治療(症状をやわらげる治療)が中心になります。重症化した場合には、入院の上酸素投与、補液(点滴)、呼吸管理が必要になります。現在、重症化のリスクの高いお子さんに対し(抗RSウイルスモノクローナル抗体:商品名シナジス)を予防投与する場合があります。対象は在胎36週未満の早産のお子さん、慢性肺疾患や先天性心疾患をお持ちの乳幼児のお子さんです。
【予防】
RSウイルスは、RSウイルスに感染している人の咳やくしゃみ、または会話をした際に飛び散るしぶきを浴びて吸い込むことで感染します。感染の多くは、この「飛沫感染」によると考えられ、ドアノブなどの環境表面についたウイルスへの接触により、鼻や口などの粘膜や傷口などを通して感染する「接触感染」も成立します。
前に書きましたように、再感染以降では感冒様症状又は気管支炎症状のみである場合が多いことから、RSウイルス感染症であるとは気付かれてない年長児や成人が存在いるわけです。従って、咳などの呼吸器症状があるお兄ちゃん、お姉ちゃんと0歳児と1歳児との接触はできる限り避けることが赤ちゃんの感染予防になります。子どもたちが、よく手に触れるものや場所をこまめにアルコールや塩素系の消毒剤等で消毒し、流水・石鹸による手洗いか又はアルコール製剤による手指衛生が大切です。
流行期間
1学期に多いのがヒトメタニューモウイルス。2学期に多いのがRSウイルス。
RSウイルスとヒトメタニューモウイルスの流行時期
【登校(園)基準】症状が回復した後