一般社団法人日本感染症学会 提言 2022-2023年シーズンのインフルエンザ対策について

(以下、同学会HPより引用しています。)

北半球の冬季のインフルエンザ流行の予測をするうえで、南半球の状況は参考になります。オーストラリア政府は定期的にインフルエンザの発症状況を報告していまが、2020年および2021年は、わが国同様、インフルエンザ患者は極めて少数でした。しかしながら、2022年は4月後半から報告数が増加し、例年を超えるレベルの患者数となっており、医療の逼迫が問題となっています。今後、海外からの入国が緩和され人的交流が増加すれば、国内へウイルスも持ち込まれると考えられ、わが国においても、今秋から冬には、同様の流行が起こる可能性があります。

ワクチン接種が是非必要な人は、65歳以上の高齢者、5歳未満のお子さん、そして年齢には関係なく、心臓や肺などに慢性の持病のある方、悪性腫瘍で治療中の方、高度の肥満の方です。また、これらの方と一緒に生活されておられる方、学校や職場で人との接触の多い方も積極的に受けて頂きたいと思います。
65歳以上の高齢の方は、インフルエンザから肺炎を起こすリスクが高いので、是非ワクチンの接種を受けて下さい。忘れてはいけないのが、小さなお子さんです。インフルエンザが流行すると、たくさんのお子さんが高熱を出して、救急外来を受診します。中には、気管支炎、肺炎、熱性痙攣などで入院することもあり、稀にインフルエンザ脳症をおこすこともあります。最近2年間、インフルエンザが流行しなかったので、特に小さなお子さんでは免疫が低下していると思われ、ワクチン接種はとても重要となります。

今季は、発熱された患者さんでは、ワクチン接種歴に関わらずCOVID-19とインフルエンザを見分けることが重要となります。また両者が合併して重症になる場合もあります。したがって、発熱者では両方のウイルスに対する検査が必要となることがありますので、医療機関の受診をお勧めします。
インフルエンザと診断されたときは、抗ウイルス薬による治療を検討することとなります。抗ウイルス薬は、インフルエンザの重症化、死亡を抑制します。高齢者、小さなお子さんなど重症化のリスクのある方は当然治療の対象となりますが、リスクを持たない健康な人でも重症化することはあり、その予測は困難です。
インフルエンザに対しては、他の呼吸器感染症と同様に、一般的な予防も大切です。手洗い、マスク、咳エチケットを普段から心がけることが重要です。